【地元愛。譲れない想い。】
せとうち備讃諸島の石の島、さぬき広島編

Culture

2021.04.14

茂浦の海

本州と四国の間に広がる瀬戸内海には大小無数の島々があり、瀬戸内海東部・備讃瀬戸海域に位置する直島諸島、水島諸島、笠岡諸島、小豆島、塩飽諸島などの島々の総称を「備讃諸島」と呼びます。
その「備讃諸島」の中で、島数28ある塩飽諸島のひとつに「広島」という島があります。
わたしは両親ともに生まれも育ちも大阪ですが、母方の祖母がこの広島出身だったので、夏は毎年この島で過ごしてきました。そんな第二の故郷であるせとうちの「広島」をご紹介します。

島について

塩飽諸島は、中世には塩飽水軍、江戸時代には塩飽廻船の根拠地として知られ、幕末には咸臨丸の乗組員を多数輩出しました。
その塩飽諸島のひとつである広島は、大坂城の築城にも使われた歴史ある石の産地で、日本の礎を築いた石の島として日本遺産に認定されています。

香川県丸亀市に属し、広島県と区別するためか、最近は「さぬき広島」や「讃岐広島」と呼ばれています。
塩飽諸島の中では一番広い島ですが、人口は200人弱、面積11.72km²、周囲18.6kmの島です。

島へのアクセスは、香川県の丸亀港から出る船のみ。フェリーで約40分、高速客船なら約20分で着きます。
島内はコミュニティバスが巡回している程度で、タクシーも電車もありません。
さらに言うと、島には信号もないし、スーパーや商店、飲食店もありません。小中学校は残っていたけれど、子どもがいないため廃校になるそうです。交番の駐在さんは通いです。たばこの自販機もないので喫煙者はたばこ切れると大変です。
「何もない島だよー」と言っていたのに、夫がこの島に初めて訪れたとき「コンビニもないのか…!」と衝撃を受けていました。

いろは石の島

歴史ある石の産地であり、この島特産の青みかかった花崗岩の「青木石(あおきいし)」によりかつては採石業が栄えていました。
しかし島中にあった丁場(採石場)は過疎化・高齢化で激減。現在は数カ所しかありません。

現存する採石場。圧巻。

この青木石に「いろはにほへと・・・」を頭文字にした格言を刻んだ石碑が島内に500mおきに設置されています。
石碑は「いろは石」と呼ばれ、43基あり、すべて巡ると島を一周できます。

この「いろは石」は、「この島に観光名所を」と、島出身の書道家・藤本正樹氏が発起人となり、寄付や私費で何年もかけて作られました。
石碑に刻まれた錦文字という複数の筆を使った書は、すべて藤本氏によるものです。

この書道家、実は、わたしの叔祖父。
子どもの頃、夏休みにこの島に来ると、叔祖父やいとこ達と「今年はここまで建ったね」「これは誰々が寄付してくれたよ」「もうすぐ全部完成だ」などと話しながら毎朝この「いろは石」をめぐる散歩をするのが日課でした。
なので、わたし、この「いろは石」に使われている格言、ほぼ憶えています。笑

写真左:いろは石「足らぬ足らぬは工夫が足らぬ」。このような石碑が島中に43基あります。
写真右:子どもの頃。「山の関所は箱根の山よ 海の関所が備讃瀬戸」のいろは石と。

今では「いろは石ウォーク」という歩いてこの石碑をめぐるツアーが行われたりして、観光に一役買っているようです。
天国から叔祖父もきっと喜んでいると思います!
(※大雨による崖崩れのため一部通行止めになりツアーは2年ほど休止中です。)

島には7つの集落があり、どの集落も海沿いにあります。
港のある集落「江の浦」にはヤシの木が並び、遠浅で美しい海水浴場があり夏には海水浴客が来ることもありますが、わたしの故郷の集落「茂浦(もうら)」の浜はいつもプライベートビーチ状態です。

walking
まさにプライベートビーチ。犬も喜び駆け回ります。
さぬき広島茂浦(もうら)の海
防波堤から飛び込んで遊んだり、夜は桟橋に寝転がって星を楽しんだり。

海は穏やかで波もなく、人がいないのでゴミも少なく、その景色はずっと変わらず。子どもの頃から何百回と来た茂浦の海を見ると「あー帰ってきた!」と実感します。

島には、弘法大師空海が修行したといわれる、日本しま山100選に選ばれた「心経山(しんぎょうざん)」と、標高312mで塩飽諸島の最高峰「王頭山(おうとうざん)」があります。どちらの山頂からも瀬戸内海を一望することができ、その眺めは絶景。

また、王頭山山頂付近には、花崗岩が風化して真砂土という砂状の土壌になった場所があり、王頭砂漠と呼ばれています。砂漠というよりは石庭のようですね。

間近で見る王頭砂漠。ここから瀬戸内海を一望できます

アートもほんの少し。

直島のように島のいたるところにアート作品があったり瀬戸内国際芸術祭に参加したりはないですが、「HOTサンダルプロジェクト」という丸亀市の事業に参加しています。

「HOTサンダルプロジェクト」は、夏期の約1ヶ月間、塩飽諸島の4島(さぬき広島、本島、小手島、手島)に美術大学の学生を受け入れ、島民との交流を深めながら美術作品の制作や発表を行うアート・プロジェクトで、2012年より始まりました。
学生の滞在中には、ワークショップや島で制作した作品を島民の前で発表する作品発表会を行うほか、滞在終了後には「未来の収穫祭」と銘打ち、4島で制作した作品を市民に紹介する作品展覧会を丸亀市内で開催しています。

なおこのプロジェクトに参加した人が卒業後に島に移住し、江の浦港の歓迎アーチを手がけられました。

最後に

1988年から15年ほど、島全体を使ったトライアスロン大会が毎年行われていたので、トライアスロンをされていた方の中にはさぬき広島をご存知の方もいるかもしれませんが、瀬戸内海にある島、というと「小豆島?」や「アートの島?(おそらく直島のこと)」と聞かれることが多いです。でも冒頭にも述べたように、瀬戸内海には大小あわせて無数の島があるんですよ…!

ただ、多くの島がそうであるように、このさぬき広島も過疎化が進み、移住者も若干いるものの人口200人弱のほとんどが高齢者です。
島への唯一のアクセスである備讃フェリーの運航数がいつ激減されるかと、不安を覚えてしまいます。

思い出がたくさんあるこの美しい故郷の観光やまちおこしに、微力ながら応援できれば…。
コロナが落ち着いたら行きたい!という方がいらっしゃったら、ぜひわたし田中までご連絡ください!

※王頭山や採石場、つい最近替えられた歓迎アーチなど、一部の写真を島在住の方にお借りしました。ご協力にお礼申し上げます。

お気軽にお問い合わせください。

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