「OODA」の概要・手順
元はアメリカ空軍で作られたこの思想。戦闘などの軍事行動では、生きるか死ぬかの瀬戸際で、その時その時の判断をいちいち上司に仰いでいては間に合いません。一瞬で的確な判断ができる臨機応変な思考力や対応力が必要です。そのような想定外の状況下で適切に対応できるよう提唱されたフレームワークがOODAループです。
具体的な手順・プロセス
Observe :観察=みる(見る、観る、視る、診る)
市場や顧客、競合などの対象を観察・調査します。現場の担当者自身が観察を行い、状況をありのままに情報を収集していきます。
Orient :状況判断=わかる(分かる、判る、解る)
集めた情報を分析し、どういった状況が起きているのかを理解し、目的は何か、まわりで何が起きているかに関心をよせます。
Decide:意思決定=きめる(決める)
どういった行動を取るべきなのかを決めます。
Act :実行=うごく(動く)
決めたことを、実際に行動に移していきます。
「OODA」と「PDCA」の違い
OODAループは誰かの指示を待つのではなく、現場の判断で動く
OODAループは想定外のことが起きるとその場で瞬時に軌道修正して対処します。手順は固定ではなく「意思決定から観察へ行く」などのショートカットもあります。誰かの指示を待つのではなく、「状況をみて柔軟にやってみる」臨機応変な姿勢で自身で判断し行動し、直観や感情など人間的な要素も重視します。
一方PDCAは、もともと工場の生産性を高めるために作られたフレームワークです。「計画(Plan)」は、計画策定を決めた後は実行して改善するまで変更しません。一方向のサイクルで、途中でショートカットしたりしません。
数値の目標
OODAループでは固定した数値目標はありません。
PDCAは「評価(Check)」で数値目標の達成状況を評価されます。
具体例
例えば、リーンスタートアップはOODAループの適用例です。試作品・プロトタイプを短期間でつくり、臨機応変に改善しながら顧客がより満足できる製品・サービスを開発していきます。デザイン思考もOODAループの理論に基づいています。自ら考え行動する個人を育てたい企業・組織などにも用いられています。
PDCAは、決められた工程においていかにコストパフォーマンス良く高い生産性をあげることができるかという思想のもと、工場などの業務改善や、ルーチンワークでその質やスピードを上げるために使われています。
まとめ
OODAループは、「柔軟に対応し、的確に即断即決・実行するためのフレームワーク」です。PDCAサイクルのような業務改善目的ではなく、はっきりとした工程のない目標・夢などに対して、刻一刻と変化していく状況のなかでベストな判断を下し、すぐに行動に移すことを目的としています。
今のようなコロナ禍では適した考え方かもしれませんね。
ちなみにわたしはスキューバダイビングが趣味なのですが、一番初めに習うトラブルがあったときの思考法「Stop(止まる)、Breathe(息をする)、Think(考える)、 Act(行動する)」を思い出しました。アメリカってこういう言い回しが好きなんですかね。